「睡眠ダイエット」とは?

「睡眠とカラダのメカニズムを上手に使えば、ダイエットは加速する。」という考え方。特に睡眠時間が不足している人へ。

"メタボショック"以来、ダイエットはいよいよ国民的な関心事となっている。皇居の周りを走れば、昔、部活で走った学校の周りを上回る混み具合だし、睡眠改善インストラクターとしてお話をしていても、ダイエットに関連する部分での食いつき(失礼)は断然スルドイ。

そんなことから、"睡眠ダイエット"をおススメしたいと考えている。誤解しないで頂きたいのだが、眠るだけでグングン痩せる、というお話ではないし、もちろん睡眠を減らそうというお話でもない。ダイエットに関してはいろいろな議論があるものの、「摂取カロリーと消費カロリーの引き算の結果がカラダに蓄えられる(あるいは減る)。」という基本的な事を改めて認識すべきだという考え方が支持を伸ばしている様だ。この点を押さえておかないと、巷にあふれる「夢のダイエット」話に振り回されてしまう事になる。原理を踏まえた上で方法論やテクニックを考える、というのが王道であろう。

男女8,000名以上を対象とした調査結果を、米国コロンビア大学が2005年に論文として発表している。ここでは、睡眠時間が7−9時間の者に比べ、5時間の者では肥満率が50%も高く、4時間以下の者ではそれが73%も高いという結果が報告されている。日本人の睡眠時間は世界一短くなったと言われるが、あなたの睡眠時間はどうだろうか?"睡眠ダイエット"は「いろいろなダイエットを試しているが、なぜか結果が出ない。」「どうしても食欲を抑えられない」...といった問題の解となる可能性がある。

では、おススメしたい「睡眠ダイエット」の本質とは何かというと、「睡眠とカラダのメカニズムを上手に使えば、ダイエットは加速する。」という考え方だ。


1.  十分な睡眠時間を確保しよう。

いくつかの調査結果から、多くの成人の理想的な睡眠時間は6.5〜8時間の間にあると考えられている。8時間神話に縛られる必要はないと思うが、4〜5時間では睡眠時間が足りていない可能性が高い。最近ダイエットで注目を集め、時に「最強の脂肪分解ホルモン」と言われる「成長ホルモン」は、睡眠中に分泌される。十分な睡眠で、成長ホルモンを十分に分泌させたい。又、睡眠は食欲亢進ホルモンの「グレリン」や食欲抑制ホルモンの「レプチン」の分泌と関係している。睡眠が不足した状態ではグレリンが増え、レプチンが減るというダブルパンチで、食欲を抑えるのが辛くなる。つまり、「なぜか食べずにいられない」という衝動の背景の一つに「睡眠不足」という要因がある訳だ。


2.  眠る前に胃は空っぽにしよう...食事は就寝の3時間前までに。

睡眠時間が極端に短いと、機能性便秘の発症率が高い事が判明している。
消化管運動や胃結腸反射をスムースにして、「キレイに消化し、ため込まず、出す」を実現したい。ポイントは「眠る時に、胃が空になっている状態をつくる」事。夕食を早めに済ませ、ぐっすり眠って、朝食をしっかり食べる。これで機能性便秘から解放される可能性がある。


3.  毎日は無理?まずは出来る範囲でチャレンジしよう。

「確かにそれは理想的だ。でもムリだよ。」という声が聞こえてきそうだ。実際には僕も、これを完璧に実行出来ている日の方が少ない。でも大まかにこれに近づけたり、断続的にでも続けてみると、違いを感じる様になる。いきなり毎日は無理でも、まず一日(出来れば今日)やってみる。そして何か良い感覚を覚えたら、週に一度でも良いので続けてみて欲しい。徐々に生活リズムを調整して、「ほぼ毎日」を目指せれば理想的だ


僕は約一年前、「3週間の集中的な食事制限と筋トレ」を中心とした減量にチャレンジした。食事制限をしつつ筋トレを行う事によって、脂肪を筋肉に置き換え、基礎代謝を上げて、太りにくいカラダをつくってゆく、というやり方だ。約3ヶ月でウエストと体重それぞれマイナス11cm /マイナス6キロという結果。ウエストが絞れた割に体重の減少が少なく見えると思うが、筋肉量を意図して多くした為だ。減量前につくったスーツは、ほぼ全滅である。その後は週1〜2回程度のトレーニングを継続している。食事には気をつける様になったが、特別な食事制限は最初の3週間だけで、その後は行っていない。酒量は自然に減った。減量そのものに「少し行き過ぎた」感覚があったので、現在はウエストを2cm、体重を1.5キロ程度上げてキープしている。

こうやって一年程自分のカラダと向き合っている間、僕は、睡眠が不足した際の「お昼前の激しい空腹感」と「カラダの重さ、疲れ易さ、アタマの切れの悪さ」を実際に体感し、睡眠をコントロールする事で対応してきた。もし、睡眠に関する知識が無かったら、理由も解らず、手の打ちようもなかったと思う。

日本人の5人に1人は不眠と言われている。また、首都圏の成人で、睡眠に問題・不満を感じている人は80%にのぼるという報告もある。シビアな現実として、減量の為トレーニングやジョギングをする時間を生活に割り込ませた結果、睡眠時間が短くなっているケースも多い。これらの人々は、前述の3点を意識する事によって、異常な食欲、脂肪の分解不足、機能性便秘等を正常な状態に戻せる可能性があるのだ。


Kenji Oishi /睡眠改善インストラクター*


注)「ダイエット」という言葉は、もともと「食事制限」を指しますが、今日的な使われ方を考慮し、当文中では一部「減量」と同義的に使用しています。このコラムでのアドバイスは、基本的に健康な方を対象としています、何らかの持病をお持ちの方は、必ず医師にご相談下さい。

* 「睡眠改善インストラクター」は、日本人の睡眠の改善を目的に設立された非営利団体「日本睡眠改善協議会」が「睡眠に関する正しい環境と生活習慣のアドバイス」の実施を目的に育成するインストラクターです。

 
 
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