"寝具の選びかた②"  より良い寝具でより良い睡眠を

 寝具をどうやって選んでいますか?

科学的知識に基づいた寝具の選び方を知っていただきたい。 


 前回途中になってしまった「寝具の選びかた」のつづきです。 


 「寝返りせずに良く眠れるマットレス」以外にもうひとつ、よく耳にする謳い文句に「正しい寝姿勢が保てるマットレス」というのがある。この謳い文句で、まず、「正しい寝姿勢というのは一体なに?」という疑問がわく。そこで、「正しい寝姿勢って何ですか?」と聞いてみた際の回答やカタログに書いてあることは、たいてい「姿勢を正して直立しているときの姿勢をそのまま寝かせたもの。それが一番負担の少ない姿勢なのだ。」というような感じだ。「姿勢を正して」の部分が「リラックスして」の場合もある。こういったことを寝具販売現場で言われると、「人が直立した姿勢って(姿勢を正してようが、リラックスしてようが)重力に逆らって直立するというある意味無理をしている状態とも考えられるし、立っているときと寝ているときでは重力のかかり方も違うのに同じ姿勢で良いの?」と聞くのだが、明快な回答が返ってきたことは少なくとも私の経験上はない。


 寝姿勢も確かに重要だと考えているが、上記の謳い文句のような表現は適切でないと考えている。そこで、「正しい」という言葉は使わずに「自然な寝姿勢」という言葉を使うのが良いと考えている。なぜなら、人が睡眠中にとる姿勢は様々で、客観的にこういう姿勢が正しいと定義するのは非常に困難だからである。そこで明らかに不自然な姿勢でなく、リラックスできる快適な姿勢であれば、それはその人にとって自然な寝姿勢であり睡眠にも良好な影響を及ぼすだろうという考えである。自然な寝姿勢であるかどうかは、横になったときの寝心地が良いかどうかと密接に関わるだろう。仰向けでの寝心地や寝つきの姿勢での寝心地が良いマットレスのほうが睡眠に良好な影響を及ぼすと考えている。仰向けと寝つきの姿勢での寝心地だけとしたのは、睡眠中の多くの時間を仰向けと寝つきの姿勢が占めるという科学的知識からであるが、仰向け、横向き、うつぶせと様々な姿勢での寝心地を確認すれば尚更良いかもしれない。寝心地という感覚的なものだけでは不安だという場合などは、客観的な寝姿勢の測定結果を参考とするのも良いだろう。しかし、あくまで参考としていただきたい。ちなみに、寝つきの姿勢での寝心地の異なるマットレスを1週間ずつ使用し、それぞれのマットレス使用時の睡眠状態をアクチグラフという測定器で客観的に比較したり、起床時の主観的な睡眠感を比較すると、寝つきの姿勢で寝心地が良いマットレスのほうが良好な睡眠が得られることが報告されている。


 さて、いよいよ本題の寝具の選び方について提案している方法を紹介する。方法は非常に単純で、寝返りしやすさ・仰向けでの寝心地・寝つきの姿勢での寝心地の良し悪しを実際に試して比較するというものだ。ここまで引っ張っておいて「たったこれだけ?」と思うかもしれないが、こういった確認をして寝具を選んだことがある人はほとんどいらっしゃらないのではないだろうか。「寝返りと寝心地を重視したマットレス」と「被験者が普段から使用している寝具」をそれぞれ1週間ずつ使用し、睡眠状態を比較すると、「寝返りと寝心地を重視したマットレス」で良好な睡眠が得られることが報告されているが、消費者が適切な寝具の選択ができていないことの現われでもあると思われる。


 今回提案した方法は、非常に簡単な方法だと思うので寝具を購入する際には、是非試していただきたい。そして、寝具と睡眠に関する科学的知識の浸透している店舗でアドバイスを受けながら購入すれば、きっと自分に合った良い寝具が選べることだろう。

T.Kogure 睡眠改善インストラクター

 
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