デューク更家さん(ウォーキングドクター) /第2回 ゼロから、歩き始めていく

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デューク更家さんといえば、やはり何と言っても「ウォーキング」を語らないわけにはいかない。日本のみならず世界で「ウォーキング革命」を起こしたデュークさんが語るウォーキングの極意とは?

「歩くこと=健康」?
 歩くことって誰でも出来ますよね。当たり前のことだからこそ、最近まで誰も歩くことに注目してこなかったんだと思います。誰でも出来るし、私自身も元手がないところからビジネスを立ち上げた。歩くのは、靴さえあれば誰でも出来る。いや、靴さえいらないかもしれない。私も、我が身一つでこの仕事を興したわけです。「歩くこと=健康」ということは昔から言われていたけれど、その「中身」はいったいどんなものなんだ? という問題意識が出発点でした。

 私のウォーキングの特徴は、歩きつつ身体をクネクネと動かすことだと言われています。要は「身体を動かしながら整える」という考えが基本にあります。人間は自分の力で病を治癒する能力がある。それを、実際に身体を動かすことで、身体に覚えさせていく。寝ることだってそう。寝ながら、その寝がえりが身体を整えていくわけです。
 私のウォーキングの場合、歩きながら筋肉だけでなく骨、内蔵、神経に至るまでを整えていきます。歩くだけで整えたければ、大人であれば一日最低一万歩は必要ですね。身体をクネクネさせるのは筋肉と神経の連結を整えるため。例えば、脳は右脳と左脳をワイパーのように行ったり来たりして機能させている。 歩くことは脳を使うことですから、脳の動きを止めないように働きかけている。歩くことで脳の発育を行っているんですね。歩けば脳も活性化するし、身体も整えられる。そして、特に必要なものもない。足さえあれば、誰でも歩くことは出来ますからね。

「目的」を持たない!
 ウォーキングは、ダイエットとか美容に効果があるとか言われています。その効果は確かにある。ただ、私自身は正直あまりこういう「目的」をもって行うウォーキングは好きじゃないんですね。仕事ですから、やってはいますが(笑)。
 自分自身、歩くことで一番効果があるだろうと思っているのは、精神的な病。鬱病の人とかはぜひ歩いてみてほしい。もちろん、誰しもすぐに治癒するというわけではないでしょう。心を病んだ人は長い時間をかけてそういう症状になってきたのですから、同じくらい長い時間をかけて直していくしかない。無理をしないで続けられることが大事なのです。

 私は日本中でウォーキングセミナーを行っていますが、会場はいつも笑いに包まれています。私自身がオモシロおかしく講習することを楽しんでいる面もありますが、なによりも来場していただいている人たちに、ウォーキングを苦行のように思われないようにしたい。「身体を動かすことは楽しい」という思想が原点です。歩くことは単純すぎて、面白みに欠ける部分があるのは確かです。なので、そこに楽しみを見いだしてもらえるようにしておきたいんですね。そのためには、講習も楽しいものにしなければいけないし、それをちゃんと皆さんが持続してできるよう、工夫しています。

仕事は「歩くこと」
 私の仕事は何かと聞かれたら、「歩くこと」だと答えますね。とにかくいつでもどこでも歩く。そしてその歩くことにエンターテイメント性を付加して、「歩くこと=楽しいこと」という風にしていきたい。
 私はいつでも目立つスタイルでいるよう心がけています。同じ格好をして、同じファッションでいるとみんなに見つけてもらえます。街を歩いていると、「あ、デュークだ、歩く人だ!」と言われることもある。たまに名前を知らない人もいるけど「歩く人」という認識は持ってもらっています。これがとても重要。この前も交差点で信号待ちしていたら、年配の方に「腰が痛いんで歩き方教えて」と。もう、その場で講習会ですよ。みんなどんどん集まってきて群衆になってしまった。信号待ちも忘れて(笑)。

日本人よ、パワーを取り戻せ!
 残念ながら、今の日本からパワーを感じることは少ないですね。昔の日本人は、そりゃあスゴかったですよ。夜中まで死ぬほど働いたら、もう疲れてしまってぐっすり眠れる。とにかく身体を動かすことです。「身体を動かすこと=眠ること」なんだと思います。「眠ることを大切にしたければ、身体を動かせ! 身体を大切に思うなら、ちゃんと寝る!」。私の基本的な考えはこれですね。

目覚めの儀式
 私は食べたいものは夜中の1時にでも食べるし、お酒も飲む。おいしいものを食べて、眠くなってきたらそのまま寝てしまう。そして、朝起き抜けにはシャンパンとエスプレッソ、葉巻。この儀式には30分かけています。
 こういう無茶ができるのも、私がいつも身体を動かしているからです。動かしてなかったら寝る前に食べてはだめです。朝もその儀式の後はウォーキングです。不思議なもので、体調が良くないな、という時は、朝のシャンパンがおいしくない。いつもの量を飲みきっていないと、妻は「あ、体調がよくないな」と気づくそうです。シャンパンは私の体調のバロメーターになっているというわけです。まあ葉巻だけはあまり勧めませんが(笑)。

「脳と自分のコントロール」そして「眠りの儀式」
 脳はごまかしたり、理解させたりして自分でコントロールするものです。5分考えて答えが出ないものは、すぐ手を離した方がいい。でなきゃ、脳がパンクしてしまう(笑)。私は、考えることを止める為にマントラをつくっています。要は、「マントラを口に出して脳に聞かせる」ことによって、脳(の活動)をおさめてしまう訳です。その方が、良いアイディアが出て来たりします。

 寝るときにも、マントラを唱えてから寝る様に指導しています。マントラを唱えることが「脳が考えることを止める」、という指令になっている訳ですから、これを唱えることによって、寝る時に、仕事のこと・借金のこと・彼や彼女のことを考える(悩む)必要がなくなります。昔はこれが「おやすみ」戸言という言葉だったと思います。今は「おやすみ」って言わないでしょ。「おやすみ」でも「愛してるよ」でも「好きな人の名前」でも何でも良いんですが、声に出して「脳に寝るという指令」を出して寝なさいと。人に言うんではなくて、自分自身に「今から寝ますよ」と宣言する訳です。そして力んで寝ないことですね。
 これが寝る前の儀式です。

 1日のうち、起きている時間は自分をコントロールしています。寝ている時間だけが「自分で自分が解らない、コントロール出来ない。」という状況。だから面白いと思っています。眠りって人間にとってのいわばガソリンみたいなもの。私は寝ることによってもっともっとエネルギーを充填したい。そして「あーあ、今日もまた会社か」なんて思いながら、疲れた「OFF の状態」で起きたくないものです。「ONの状態」で起きるには? 前の日からの意識が必要です。「朝一番に起きて何をしよう?」と楽しみにする気持ちを持つこと、これがONで起きることに繋がる。週3日でも4日でもいいですから、旅行に行く日の様な楽しみな気持ちで起きたら、1日が充実します。私の場合、「明日も朝起きたらおいしいシャンパンが飲める」(目覚めの儀式)と楽しみにする気持ちですね。

いつまでも歩き続ける
 歩くことは走ることよりも合理的と言えると思います。続けることが重要です。同じ動作を繰り返すことで脳内物質のセロトニンが出て、だんだん楽しくなってくる。
 「ジョギングは達成感、ウォーキングは爽快感」とよく言われます。ジョギングも良さそうですが、達成するためにはなにかを我慢しなければその達成感は得られない。登山も一緒で、苦しい上り道の果ての頂上への到達という達成感を得たいがために、人は山を登るのです。それはそれで否定しませんが、日々の生活においてそのような苦行や特別なものを続けていくのは難しい。ですから、私は歩数を数えることはしなくていいと言っています。1 歩でも3歩でもいいんです。それが気持ち良ければ。

 今年(2010年)は、全国を「トルソ・ウォーク」で巡るチャリティーをやろうと企画しています。北海道の旭川にある旭山動物園から出発して、沖縄までみんなで歩く。100万人くらいの参加を見込んでいます。身体を喜ばせると、次に心がついてきます。身体や心の健康に不安がある方にぜひ参加してほしい。歩くことで身体が喜び、心が喜ぶ。そうすると良いエネルギーが日本の中にも増えていくはずです。私は自分が出来ることで、世の中を幸せにしていきたい。歩くことが、自分の仕事です。それが社会の役に立つのであればどんどん貢献していきたいですね。
 しっかり歩いて、しっかり大地を踏みつけて。その結果が出た時に、デューク更家の提唱したウォーキングが理解されるのかな、と思っています。

睡眠改善インストラクターの一言
 「歩く人」デュークさんが大切にしておられる眠りの儀式「マントラ」。眠りに入るスイッチの様に言葉をつぶやく訳だが、実はデュークさんが日本に「滞在」しておられる時の眠りのマントラは、「(モナコに住んでいる)子供達が笑って寝られますように。」であった。感動。私自身2人の子供がいるが、この言葉をつぶやく自分を想像しただけで、心のカドがとれて安らぎに包まれる様な感覚があった。眠りを大切にしておられるデュークさんだからこそこの言葉に立ち至ったのだと思う。みなさんも、自分にとって最高の「素敵な言葉」を見つけてください。


デューク更家(でゅーく・さらいえ)
1954年、和歌山県新宮市生まれ。ファッションショーの演出およびプロデュース、モデルへのウォーキング指導を手がけた後、1993年から一般向けのウォーキングレッスンを開始。細胞を活性化させ、心身を整え、健康で更に美しい身体に作り変える独自のウォーキングエクササイズを確立。「歩く量や時間ではなく歩き方の質」や「歩くことで道徳を伝える『歩育』」を提唱すべく全国各地で活動中。
 
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