各界著名人の方々の知られざる「眠り」に、快眠セラピスト三橋美穂さんが迫る――。 新たなコンセプトでお送りする当コーナーの記念すべき第1回ゲ
ストは、テレビ、ラジオ、出版などあらゆるメディアで八面六臂の活躍を続ける山田五郎さん。あまりにも多忙な日々に、実際のところ、いつ何時お休みになっ
ているのか? と疑問はふくらむばかり。ヴェールに包まれた山田さんの睡眠生活について、三橋さんが聞きます。山田五郎流(?)睡眠法とは
三橋美穂(以下三橋) 普段の睡眠時間はどれくらいですか?
山田五郎(以下山田) めちゃくちゃなんですよ。合計で6時間は眠るよう心がけているんですが。1時間半+4時間半とか、3時間+3時間とか、そんな感じですね。
三橋 それは昼夜関係なく?
山田 そうですね。夜に寝ることはほとんどありませんけど。朝6時に寝て9時に起きて、で、仕事中に時間が空いたら午後3時から6時くらいまで寝て、とか。あるいは夜の9時くらいにご飯を食べて眠くなったから2時間くらい寝てとか、そんな良くないパターンですね(笑)。
三橋 おそらくそのスタイルがご自身で心地良いわけですよね。
山田 いやいや、最初はそのつもりだったんですが、やっぱり年齢取るとこのパターンはだめだなって痛感していますよ。
三橋 そうですか?
山田 はい。20代や30代のはじめには、まだ会社勤めをしていたんですが、夜仕事を終えて帰ってきて、1時間くらい寝て風呂に入れば元気になって、それから朝まで個人の原稿を書いたりというようなことが出来たんですね。でも、今はもうそれじゃ回復出来なくて、結局トータルで考えるとものすごく能率の悪いことになってます。昔同じような生活を送ってきた仲間達も、最近は「もうだめだ」と、朝型にシフトし始めていますよ。僕もなんとかそうしたいと思って、毎年新年の目標に掲げるんですが、三が日の間に早くも挫折しちゃうんです。お正月の夜にやっているドラマの総集編とか、映画の『仁義なき闘い』とか見ちゃうから、すぐに夜型に逆戻り。我ながら「これはまずいなあ」と。真剣に悩みすぎて、かえってそれがストレスになっているような有様です(笑)。
三橋 眠り自体は浅い方ですか?
山田 いや、深すぎちゃうくらいですかね(笑)。
三橋 お酒は結構飲まれるんですか?
山田 いや、今はもう飲まないです。たぶん会社勤めのストレスから飲んでたんですよ、昔は。現在は「全然」といっても過言ではないくらい飲まなくなりました。そういえば、昔編集部の先輩でよくお酒を飲む人がいましてね、ある日その人が腕吊って出社してきた。どうしたんですかって聞いたら、酒飲んでそのまま寝たら血行が止まっちゃって腕が動かなくなったって言うんですよ。で、その時はそんなバカなことはないだろう、寝返りだって打つだろうしって思ったんですけど、あるんですよ、これが。自分にもあったんです。珍しく飲んで帰って寝た翌朝に(笑)。僕の場合は足で、目覚まし時計が鳴ったので止めようと思ってベッドから下りたら、そのままどーんて倒れちゃった。「え? 何?」と思って、立とうとしたんですが、全然立てない。ものすごく焦りながら、出来る限り落ち着いて自分を観察したら、左足が全く動いてない。もうホントに自分の意志で動かなくなっちゃってて。何とか片足で起きたんですが、感覚が全くなく、半日くらい元に戻りませんでした。あ、これかあと思いましたね(笑)。
三橋 お酒を控えるようになったのは、身体にとっては良いような気もしますが(笑)。
山田 どうでしょうか。少なくとも近所の酒屋さんにとっては良くないみたいですよ。お酒をやめて3ヵ月くらい経ったときに、「ご主人具合悪いんですか?」って家内に聞きに来たそうですから(笑)。それまでは毎週ビール1ケースとウイスキー1本のペースで届けてもらってましたからね。
こだわりの寝具選び!
三橋 最近は睡眠にも気を遣って、ベッドなどの寝具にはこだわってらっしゃるとか。
山田 短時間にがっつり寝ないといけないですからね。若い頃は眠りについては無頓着で、別に床の上だろうが寝られればいいやっていう感じだったんですけども、やっぱりそれだと疲れが取れなくなってくるんですよ、だんだん。
三橋 いつ頃からそういう風に思われ始めたんですか。
山田 30代半ばくらいからでしょうか。疲れというよりも、肩こりとか背中が痛いとか、それがもうどうにも辛いって感じになってきまして。雑誌関係の仕事をしている仲間は、デスクワークが多いせいか、みんな大体同じような悩みを持っていましたね。例えば、若くして亡くなってしまった消しゴム版画家でコラムニストのナンシー関さんも、やはり肩こりがすごく辛いと言っていて、僕の周りでは彼女が最初に寝具に凝り始めた。それで枕とか「これいいよ」って薦めてくれたりして、「やっぱ俺もそういうこと考えなきゃいかんかなあ」と思い始めたんですよ。
三橋 その後寝具についても色々研究されて、お考えも変わりましたか。
山田 はい、変わりました。先日のSAS(睡眠時無呼吸症候群)のシンポジウムでも申し上げたんですが、実は「睡眠」というのは一番お金のかけがいがあるところなんじゃないかと気がつきましたね。確かに、良いベッドは高いですよ。僕も最初はびっくりしましたけど、使っている時間や耐用年数を考えると、服や靴にお金をかけるよりコストパフォーマンスは高いんじゃないかと。最近は枕をはじめマットやシーツも、例えばNASA開発のアウトラストとか快適さが実感できる新製品が多いから、お金のかけがいがありますし。
三橋 お詳しいですね(笑)。
山田 力入れてますから、眠りには(笑)。枕も、もう山ほど試しましたよ。色々紆余曲折を経て、今は大体落ち着くとこに落ち着いてきたって感じですかね。
SASプロジェクトに関わって
三橋 現在、山田さんはSASプロジェクト(睡眠時無呼吸発見プロジェクト)のキャンペーンキャラクターを務めていらっしゃいますが、その活動について伺えますか。
山田 僕も最初はほとんど知識はなかったのですが、シンポジウムに出たり、ウェブサイト(http://www.are-you-sas.jp/)の撮影中に筑波大学の佐藤誠先生からつきっきりでお話をうかがったりして。結果的にずっと集中講義を受けているようなものですから、おかげさまである程度は詳しくなりました。だから、いろんな機会にあちこちで吹聴したりはしていますけどね。昔、雑誌の編集をやっていた頃は、みんな編集部でゴロゴロ寝てたんですが、中には時々息が止まってる奴がたしかにいたんです。当時は笑い話にしていましたが、笑い事じゃなかったんだなって、今になって教えられました(苦笑)。
三橋 そういう意味では、SASの活動を通じて認知はかなり進んできたということでしょうか。
山田 いやあ、でもまだまだこれからだと思います。先日も、ある女性誌から読者のお悩み相談の取材を受けて、旦那さんのイビキに悩まされているという相談があったんですが、
明らかにSASの症状なんですよ。なのに相談者も担当編集者も、単なる「オヤジ化」の兆候くらいにしか考えていないみたいで。すぐに専門病院で検査を受けさせるよう勧めておきました。そんな感じで、まだまだSASといえばサザンオールスターズの方が有名ですから。次が「スカンジナビア航空」で、三番目にやっと「睡眠時無呼吸症候群」が出てくるくらいの認知度なんですよ。もっと頑張って伝えていかなければと思っています。
三橋 そんなものですかねえ。
山田 そんなものだと思って、これからも伝えていかないと。
(カメラマン森) スカンジナビア航空の上には行きたい感じですよねえ。
山田 そうですね、まずはそこからですね(笑)。
(写真・森亨/構成・山崎隆広)
山田五郎 やまだ・ごろう(編集者・評論家)
1958年東京都生まれ。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し西洋美術史を学ぶ。卒業後、㈱講談社に入社『Hot-Dog PRESS』編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。現在は時計、ファッション、西洋美術、街づくり、など幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。著者に『百万人のお尻学』(講談社+α文庫)、『20世紀少年白書』(世界文化社)、『山田五郎のマニア解体新書』(講談社)、『知識ゼロからの西洋絵画入門』(幻冬舎)、『純情の男飯』(講談社)など。TVは『出没!アド街ック天国』(テレビ東京)、『PON』(日本テレビ)、『ぶらぶら美術博物館』(BS日テレ)、他レギュラー出演中。ラジオは『東京REMIX 族』(J-WAVE)、『デイ・キャッチ』(TBSラジオ)他にレギュラー出演中。雑誌メディアも『世界の腕時計』(ワールドフォトプレス)、『月刊一枚の絵』(一枚の絵(㈱))他にて好評連載中。
三橋美穂 みはし・みほ
快眠セラピスト。寝具メーカーの研究開発部門長を経て独立。心の環境、体の環境、睡眠の環境を整えることが快眠の3つの柱と考え、睡眠とストレス、食事、色彩、体操、呼吸法、寝具などとの関わりについて研究。講演や執筆、個人相談を通して、眠りの大切さや快眠の工夫、寝具の選び方などを提案している。特に枕は、その人の頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど。睡眠を多角的にとらえ、その幅広い知識と、実践的でわかりやすいアドバイスには定評がある。ベッドメーカーのコンサルティングや、ホテルや旅館の客室コーディネイトなど、企業の睡眠関連事業にも携わる。著書に『ねこに教わる快眠レッスン60』(PHP研究所)、『幸せを呼ぶ 快眠ヒーリング』(日本実業出版社)などがある。
オフィシャルサイト: http://sleepeace.com/



