
サッカー・Jリーグで活躍し、現在はスポーツジャーナリストとして、サッカー解説、ラジオパーソナリティーなど、多方面で活動している中西哲生さん。まだ地域のリーグでばりばりプレーも出来るアスリートの中西さんと睡眠との関係に迫ります。
――日々の起床と就寝のスケジュールを教えてください。
「きっと、人とは全く違う生活をしているんじゃないかと思います。
2009年4月から、毎朝のラジオ番組の仕事が始まりました(『中西哲生のクロノス』。TOKYO FM、JFN系列で放送中)。月曜日から木曜日までは、これに合わせて、基本的に起きる時間は毎日朝3時です。支度をして4時にTOKYO FM入りをして、打ち合わせをしたり、新聞に目を通したり。そして5時から生放送が3時間半始まります。
朝が早いので、21時から22時までには家に戻ります。どんなに遅くとも24時には寝ようと心がけています。月曜日から木曜日までは毎日3時間半の睡眠。番組以前は7時間ほどありましたが、別に睡眠時間が短くてもそこまで苦ではありませんね」
――サッカー選手時代よりも朝が早くなったのではないですか?
「サッカー選手は朝型が多いですよ。ナイターの試合は別ですが、練習は朝が多いです。Jリーグの頃は朝にチーム練習を2時間ほどやっていました。2回練習する日もあるし、午後練習ということもありますが。監督・指導者によって練習のパターンは変わります。試合に合わせて練習する監督もいれば、関係なく毎朝練習する人もいますし」
――では睡眠は良く取れている方ですか?
「だいたいいつも眠いですね(笑)。元々、あまり環境に左右されるタイプではないので、ちょっと時間があると寝てしまいます。寝だめは無理だと思います。僕の場合、体内時計で起きてしまうので、朝の仕事がない金曜日にも朝3時にパッと起きてしまう。遅刻した! とびっくりするのですが、あれはかなり体に悪いです(笑)」
◆睡眠改善インストラクターからのアドバイス
睡眠研究者の間でも、寝だめは無理だというのが一般的です。休日に平日より長く眠るのは平日不足した分を補っているだけで、休日長く眠ったからといって平日少ない睡眠時間で良いということにはなりません。また、休日もなぜか平日と同じ時間に目が覚めてしまうということは中西さんに限らず誰しもが経験することだと思います。休日は、いつもの時間に目が覚めても2度寝してしまうかもしれませんが。
――では、睡眠不足で体調に影響があるのでは?
「いや、むしろ前よりも健康です。4月以降、24時以前に寝ようと心がけるようになったので、良い睡眠が取れているんじゃないかと思います。その習慣を始めたばかりのときは全く寝付けませんでしたが。僕が良くなっても仕方ないけど、最近肌の調子は抜群に良いです(笑)」
◆睡眠改善インストラクターからのアドバイス
3時間半の睡眠でも調子が良いのであれば、ひょっとすると中西さんは6時間未満の睡眠時間でも生理的に足りる短時間睡眠者(ショートスリーパー)なのかもしれませんね。ただ、短時間睡眠者は非常に少ないといわれています。脅すわけではありませんが、短時間睡眠による健康被害が指摘されているので、少しだけ気をつけたほうがよいかもしれませんよ。
――寝起きはどうですか?
「寝起きは良くて、当たり前なんですが、これまで1回も遅刻した事はありません。目覚まし時計は使っていなくて、ケータイ1つでちゃんと起きます。心地良い、柔らかめの音楽をケータイで鳴らしています。バチッと起きられますね、比較的。起きてすぐにうがいをします。のどが強い方ではないので。そして水分補給し、身支度をしてから出かけます」
――快眠のために心がけている事はありますか?
「いつもベッドで寝ています。ベッドもこだわって揃えました。かなり硬い方だと思います。人生の3分の1は寝ている訳ですから、そこにお金をかけるのは不思議じゃないと思います。枕は低反発性のものが好きです。
あと、なるべく寝る直前に食べるということは避けてます。21時以降には食べない、少なくとも寝る1時間半前には食べ終えるようにしています。やっぱり、おなかの中に物があると熟睡できないので。お酒は飲みますが、かなり減らしました。この生活で、たくさんお酒では持ちません(笑)。
また、遮光カーテンで部屋を真っ暗にしています。音楽はナシ。難しい本を読むと、すぐに寝られます(笑)」
――最近もスポーツ、サッカーをプレーしているのですか?
「エンジョイ・スポーツの精神で楽しんでやっています。サッカー教室や、東京都二部リーグの自分のチームの試合に出ています。まだまだ、1試合フルに走れますよ。あとはゴルフをやったり、マラソン出場があれば走り込みもしたり。プロ選手の頃は筋トレもしていましたが、最近は鍛えるというよりは、楽しんでスポーツをしながら体力を維持しています。現役時代の体力維持は出来てないかもしれないですが......(苦笑)」
――スポーツと睡眠の関係についてはどう捉えていますか?
「睡眠は人間の活動に必ず関係があると思います。良いプレーをするためにはよい睡眠を取る事が大切です。Jリーグ時代、マンチェスター・ユナイテッドのように睡眠インストラクターは付いていませんでしたが、スポーツ選手はみな、良い睡眠を取る事に配慮しています。
体作りには運動、食べる、寝るが基本で、必要だということは常々教えられています。自分自身、良い睡眠を取る事に気を遣っていました。やはり、キチンと寝ないと疲れが取れないので、試合や練習に影響を与える事になります。
――サッカー選手と縁が深い、海外遠征の際の時差調整は?
「日本サッカー協会では、メディカルチームを組んで時差調整の指導をしています。具体的には飛行機に乗るときの、睡眠のタイミングの指導です。ただ、本人次第の部分も大きいと思います。臨機応変さが重要。如何に環境に順応して、良いプレーが出来るコンディションに整えられるかも良い選手の条件です」
(取材・テキスト/松村太郎)

中西哲生(なかにし・てつお)
スポーツジャーナリスト。1969年愛知県名古屋市生まれ。プロサッカー選手として、名古屋グランパスエイトを経て、川崎フロンターレへ。2000年末をもって現役を引退。現在はスポーツジャーナリストとして活動し、日本テレビ『ズームイン!! SUPER』やTBS『サンデーモーニング』、テレビ朝日『Get Sports』などのテレビ番組でコメンテーターを務めるほか、毎週月曜日~木曜日、朝5時から8時半まで、TOKYO FM(JFN系列)『中西哲生のクロノス』の番組パーソナリティーを務める。2008年7月、(財)日本サッカー協会特任理事に就任。著書・共著に『魂の叫び―J2聖戦記』、『ベンゲル・ノート』、『不安定な人生を選ぶこと 買い物ワールドカップ2000~2002』、『新・キックバイブル』(幻冬舎刊)など。



