
サッカー選手と現在のラジオ生放送でのパーソナリティーの経験は似ていると語る中西さん。そこには情報のインプットと処理、そしてアウトプットの問題があります。ラジオやテレビというメディアで活躍する中西さんのサッカーにかける思いをうかがいました。
――声と体調は関係しますか?
「とてもしますね。声は体調を凄く反映します。僕の場合、3時間半のラジオ番組なので、常に声を作って喋る事は難しい。そこで、上手に睡眠を取って疲れをためない事が重要です。最低何時から寝なければならないか逆算して、21時にはスケジュールが終わるようにしています。ただJリーグを見に行ったりすると難しいし、時には仕事で徹夜明けの事もあります」
――徹夜明けの放送は大変ではないですか?
「きついですね。ろれつが回らないのです。気合いで回すようにしていますが。ただ、こういう生活がイヤか、と言われると全くイヤじゃないです。番組が始まった事で、自分の新たな一面を発見する事になったので」
――その一面とは何ですか?
「頭は退化していない、脳は動くということです。3時間半喋るとなると、原稿を読む部分はわずかで、喋る内容はリストアップしてありますが、自分で話をつなげていかなければなりません。そのための情報のインプット量は半端ではない膨大な量です。
そこで気づいたのが、ラジオやテレビの仕事には、サッカー選手が試合中に行っている情報処理に近いものがあるという点です。
サッカー選手は必ず何かをしつつ、考えながら次の動作を判断しています。相手を見ながらボールをコントロールして、敵、見方の動きを予測してパスを出す。この経験は、今の仕事にとても活きています。喋りながら次の原稿を読んだり、テレビならカメラを見ながら相手に話を回したり。
使えば使うほど、まだまだ脳は動きますし、使い始めればより多くの情報を処理できるようになります。これは発見でした」
――中西さんはサッカー協会の理事のお仕事もされています。どのような活動をされているのでしょうか?
「理事会自体は、日本サッカーの様々な事を決めるところです。上がってきた事案をチェックする仕事が主。理事会から分かれているいくつもの細かい委員会があって、僕は広報委員会を担当しています。広報委員会は日本のサッカーをいかに見せていくかを考える場所。また同時に選手教育の分科会も担当していて、選手に何をどう伝えるべきか、サッカー選手としてどうに生きるべきかを講演しながら回っています」
――日本のサッカーとメディアの関係をどう捉えていますか?
「日本は特殊だと思います。世界的に見ても、メディアとの共存がない限りスポーツの大きな成功はありません。自分は今、メディアの中で生きている人間なので、メディアの状況を日本のサッカー界に伝える事、より露出させてもらえるようなサッカー界にしていく事をテーマにしています。よりたくさんの人に見てもらえる状況を作るための、サッカーとメディアの橋渡しをしています」
――そこには具体的に何が必要でしょうか?
「例えばサッカー日本代表。このチームが強くないと日本のサッカー界全体が盛り上がりませんね。でも、いま一度、誰のための日本代表なんだ、ということを考える必要があります。サッカー選手自身のため、と言うと支持してくれる人は限られます。より多くの人に、サッカーに興味を持ってもらわなければならず、開かれた日本代表でなければなりません。
選手がプライドを持つ事も大切ですが、代表は皆さんにとっても身近な存在であって欲しいと思っています。サポーターとの距離がまだまだ遠いのです。メディアの仕事を始めて痛感したのは、サッカーの選手といえど、『たかがサッカー選手』であるということ。世の中の半分以上の人はサッカーに興味が無く、必然的にサッカー選手の地位も低いのです」
――最後に、日本のサッカーを盛り上げるには何が必要でしょうか?
「端的に言えば、僕の露出の数がもっと増える事ではないでしょうか。『サンデーモーニング』でも、日本代表の試合がないと呼ばれません。サッカー協会ももっと取材して下さい、と頭を下げるべきです。もちろんスポーツ選手なので、良いプレーをする事は大切ですが、その良いプレーを取材してもらわない事には伝わりません。そして、未来のサッカー選手がたくさん生まれて、世界に通用する選手がたくさん育つ事を目指さなければならないと思っています」
◆中西さんからの質問その1
寝ているときに涎がたれてしまうのは、どうすれば良いですか?
◆睡眠改善インストラクターからのアドバイス
眠っているときに口呼吸になり口をあけているため涎がたれてしまいます。もし、涎が多いのであれば、のどが強いほうじゃないというのも睡眠中に口呼吸に なっているのと関係があるかもしれません。口呼吸になるとどうしてものどが乾燥しやすくなり、朝起きたときにのどが痛いということになりやすくなります。 対策としては鼻呼吸になるようにすることですが、鼻炎などで鼻が詰まりやすい場合はその対策をする、鼻腔をひろげる用具を活用する、意識的に鼻呼吸をする よう努める、などが有効かと思います。
◆中西さんからの質問その2
睡眠中の無呼吸について、よい対処法はありますか?
◆睡眠改善インストラクターからのアドバイス
無呼吸にも種類がありますが、最も多い閉塞型の睡眠時無呼吸は、太っている人や顎が細い人がなりやすいといわれています。いびきを良くかく、睡眠中に息が 止まっているといわれたことがある、会議中などの眠ってはいけない時に眠ってしまうなど、無呼吸が疑われるようであれば、睡眠専門医を受診しましょう。閉 塞型の睡眠時無呼吸は睡眠中にのどの筋肉が緩み舌根などが落ち込んで気道を塞ぐために起こります。肥満や扁桃腺肥大などでもともと気道が狭くなっている と、睡眠中に筋肉が緩んだときに気道が塞がりやすくなります。太っている場合は減量する、飲酒により筋肉が弛緩することで気道が塞がりやすくなるので飲酒 は控えるなどが予防としても大切です。

中西哲生(なかにし・てつお)
スポーツジャーナリスト。1969年愛知県名古屋市生まれ。プロサッカー選手として、名古屋グランパスエイトを経て、川崎フロンターレへ。2000年末をもって現役を引退。現在はスポーツジャーナリストとして活動し、日本テレビ『ズームイン!! SUPER』やTBS『サンデーモーニング』、テレビ朝日『Get Sports』などのテレビ番組でコメンテーターを務めるほか、毎週月曜日~木曜日、朝5時から8時半まで、TOKYO FMをキーステーションに全国38局ネットで『中西哲生のクロノス』の番組パーソナリティを務める。2008年7月より日本サッカー協会特任理事に就任。著書・共著に『魂の叫び―J2聖戦記』、『ベンゲル・ノート』、『不安定な人生を選ぶこと 買い物ワールドカップ2000~2002』(幻冬舎刊)など。



