ネイルを見ればその人の毎日が分かる――。多忙な毎日の経験から導き出された、私たちとネイルの未来図。男性向けのネイルサロンなど、新たな展開についてもお聞きしました。
――最近はネイルがブームのようですね。
そうですね。驚くとともに嬉しいです。ネイルが本格的に日本で普及し始めたのは、ここ10年のことだと思います。それまでは一部の女性にしか縁がなかったんですね。女優さんとかお金持ちの方とか。雑誌で頻繁にネイルアートのことが取り上げられたり、特集を組んでくれるようになったのも最近のことです。
私自身は日本と海外の両方でネイルの修行をしたのですが、1999年「International Beauty Show New York(ニューヨークで開催されるネイルアートの世界大会)で日本人では初めて優勝することができました。その時にファッション誌が大きくネイルを特集してくれて、それ以来雑誌がネイルをファッションとして取り上げるようになってきたんですね。世界一のタイトルをとったということで、ものすごい数の取材依頼をいただきまして、2000年に開業しました。
――日本でもネイルが普及したのはなぜでしょうか?
やはり一番大きな要素は、芸能人の方々がネイルをし始めたことでしょうね。彼女たちが新しいファッションのファクターとして目立つネイルを施すようになり、それをファッション誌などのメディアが取り上げる。そうやってネイルアートの存在をより一般的にしてくれたことが大きかったと思います。
最近は働いている女性が職場や会社でネイルをしていても何も言われなくなってきたようです。うちのお客さまも、今ではもう働いている女性が過半数です。
――松下さんご自身がネイリストであると同時に経営者でいらっしゃいます。ビジネスとしてのネイルは今後どうなるでしょうか?
私たちのネイルサロンは代官山と銀座にあり、またネイルのスクールは恵比寿と銀座にあります。またネイル以外の美容部門も多く取り扱っています。
男性向けのお店もこれから可能性があるのではないでしょうか。まだちょっと想像できない方もいるかもしれませんが、あるところにはすごい需要がある。手のケアや爪の甘皮の処理、あと眉毛カットなど。爪はマニキュアとかを塗るのではなくて、磨たり、トップコートを塗るくらいですけれど。
――男性向けというのはこれまでになかったものですね!
アメリカでは、ステイタスの高い男性はおしゃれとして爪をきれいにします。日本の男性の方も年代を問わずおしゃれな方が増えていますから、ファッションや美容の選択の一つとして、もっと広まればいいですね。髪を切るような感覚で爪のケアや、眉毛カットをしてくださるようになれば!
ひとつだけ、女性の方にも、男性の方にも手軽に出来るワンポイント・レッスンをお教えしましょう。
お風呂のなかでガーゼを濡らして、それを爪に巻き付けます。甘皮がふやけたあとに、ガーゼで押し上げるようにして甘皮の下にあるゴミとか角質をマッサージするようにとっていきます。それだけでも爪は健康に育成されていきます。もちろん、その後にキューティクルオイルとかを擦り込むともさらに良いですが、マッサージだけでもかなり効果的。丈夫な爪ができます。爪の細胞は指の第一関節の間で生まれてくるので、ここをマッサージするのもいいですね。
――これまで多くの人の手や爪を見ていらして、なにかお分かりになったことはあるでしょうか?
職業柄、初めてお会いする時にはその方の爪を真っ先に見るのですが、そこから健康状態などが結構分かるんですよ。甘皮が貼りついていたり、乾燥して二枚爪になったりしているのを見ると「お疲れなのかなー」って。
爪は、その方のいろいろなことを表すバロメータです。栄養障害、無理なダイエット、偏食、精神的な疲れとか。なにか心配事や悩み事を抱えている時には、爪にでます。髪や肌にもつながっているんです。ちなみに「爪の三日月が大きいと健康」というのは迷信ですよ!
――まさに「爪から見える人生模様」ですね(笑)。さて今後のご活動の予定についてお聞かせください。
今後はネイルだけにとどまらない、新しいおしゃれを提案していきたいと思っています。むやみに店舗を増やすのではなく、それよりはメニューを増やしていきたい。既にまつげパーマやエクステンション、足の爪の巻き爪矯正、眉毛カット、アートメイクなどはやっていますが、さらに、もっと新しくて女性に受けるおしゃれを開発していきたいですね。
あとはもっとコンビニエンスなものも開発したい。安くて、早くて、きれいっていう。まだ色々と難しいこともあるのですが、チャレンジして新しい文化をつくっていきたいですね。
(取材・文/山脇智志)
松下美智子(まつした・みちこ)
ネイル業界で世界的に名誉ある大会「IBS New York Show」にて、日本人で初めて世界ランキング1位を受賞。同時に二部門制覇という前代未聞の偉業を達成。(スカルプチュア部門1位、フラットネイルアート部門1位)タカラベルモント㈱でエステティック事業部に講師として勤務。その間山野愛子美容専門学校を卒業。1996年シデスコインターナショナルディプロマ(エステティック国際ライセンス)、美容師国家試験資格取得。その後、ネイルとエステのトータルコーディネートを目指し、都内ネイルスクールにてネイルを学びネイリストとなる。フリーランスで活躍する一方で数々の世界大会を制覇。2000年2月代官山にLe Soleil Nail&Esthe(現tout Soleil)をオープン。2003年5月銀座にトゥーソレイユ銀座店をオープン。エステ・美容師・ネイルと「美」にまつわるあらゆる資格をもち、世界的ネイリストとしてはもちろん美のエキスパートとして、国内外で高い評価を受け続けている。総合ビューティースクールのシーズインターナショナルカレッジの学院長や講師を勤め、ネイルアーティストを目指す後輩の指導にも取り組んでいる。著書に『松下美智子のキレイがつくれる』(幻冬舎)、『松下美智子のエレガントネイル―アート&DVDレッスン』(宝島社)、『松下美智子流ネイルアート』(ネコ・パブリッシング)ほか。オフィシャルHPは、http://matsushita-michiko.com/



