漫才、テレビコメンテーター、雑誌連載、ツイッターからの発信などなど、まさに八面六臂の大活躍を続ける水道橋博士さん。健康に対する造詣も深く、そのこだわりようも並大抵ではない。今回のインタビューでは、まさに好奇心の塊のような博士の知識の深淵に迫った。最近ベッドを買いました
三橋美穂(以下、三橋) ツイッターでご様子を拝見しているとものすごくお忙しそうで、ちゃんと眠れていらっしゃるのかなと心配になったのですが。
水道橋博士(以下、水道橋) 実際、去年の6月に1度倒れて入院しましたが、2年ほど前にはみのもんたさんより早起きする計画というのをやってました。僕が先に起きて、その後テレビの「みのもんたの朝ズバッ!」をつけると。その当時はすっごい絶好調で、ショートスリープでもガンガン行けたんですけど、その後吉田たかよしさんという睡眠外来をやっている医者の方のラジオ番組に出るようになって、その吉田さんがショートスリープは免疫性が落ちるという統計に基づいた本を書いていて(『脳を活かす! 必勝の時間攻略法』講談社現代新書)、それを読んだ途端、やっぱ脳にとってはショートスリープって良くないなあと。いったん自分の中で理解しちゃうと、今度は「ショートスリープは危険だ」って思いだしまして、それからはロングスリープに切り替えて、現在は平均すると1日の睡眠時間は5、6時間ですかね。昨年病気してからは3時間睡眠とかにはならないように心がけています。「それでも体力もつぞ」というふうには思わないように。
三橋 お忙しい中でも適度に睡眠時間はとっていらっしゃるのですね。最近ベッドを変えられたそうですが、どうですか、新しいベッドの寝心地は。
水道橋 「ベッドの不具合のせいでよく眠れない」などとはまるで思わなくなったのは、良いことだと思います。僕の部屋にはでっかいテレビがあるんですが、以前はそのテレビを、床にこだわりのマットレスを敷いて、枕をいくつも重ねて見ていたけれど、最近肩こりがひどくなりまして。「これは絶対ベッドにしたほうがいいですよ」ってアドバイスされて、ベッドにしてみたのですが、そのベッドはちょっと狭い感じで、今度は「ベッドが苦しい」となって。それからベッドの硬さがどうだとか、延々と安住の地のない状態が続いていたんですけれど、先日新しいベッドを買いまして、今ようやくそういう不満は全く言わなくなっているというのは、快適なんでしょうね(註:最近水道橋博士さんはパラマウントベッドのインタイム電動ベッドを購入された)。
三橋 それはよかったですね。
(横で聞いていたパラマウントベッド社員)ありがとうございます。
水道橋 最近は朝起きた時も肩や腰の疲れが全然ないですが、むしろ移動疲れが出ていると思います。
三橋 名古屋や大阪に頻繁に行かれているのですよね。
水道橋 ええ。
三橋 そういった出張先で泊まられたりする時に、何か睡眠に関して気を遣っていらっしゃること、心がけていることはありますか。
水道橋 僕はアイマスクとマイ枕を持っていかないと眠れません。
三橋 そうなんですか。
水道橋 結構センシティブなんですね。馬鹿な話だけど、若い頃も女性の部屋に泊まったことないですよ。眠れないから泊まれない。それはロマンチックだとかじゃなくて、ただ眠れないだけなんです。どんなことがあっても帰る。
三橋 ハチャメチャなことをやっていらっしゃるようでも、実はすごく繊細でいらっしゃいますね。
水道橋 そうなんですよ。昔は路上で寝ているような生活をしていたかのごとく振る舞ってますが、寝ることに関してだけは駄目なんです。
三橋 『キッドのもと』(浅草キッド著/学習研究社)を読ませていただいたら、フランス座時代は本当に皆で雑魚寝で、ということでしたが。
水道橋 あの布団はつらかったな。あの時代はフランス座のもう本当に洗っていないせんべい布団で、僕としては最も苦しかったし、屈辱的というか、つらい思い出ですね......。
三橋 睡眠時間も取れなかったですよね、その頃って。
水道橋 うん。でもまあ、若かったからね。徹夜がきかないなんていうこともなかったし。むしろダンカンさんのボーヤをやっていた頃なんて、1週間に4、5時間しか寝てなかったですからね。
三橋 1週間にですか? 1日の睡眠時間じゃなくて?
水道橋 ええ。本当にそれぐらいでやっていましたね。だから、30歳ぐらいになって、もう徹夜ができないんだとわかったときに、ああ、俺は年取ったなと思いました。
過度な健康が不健康を呼ぶ?
三橋 博士といえば健康を追及しているというイメージがあるのですが、健康に目覚められたきっかけや、現在気にかけていらっしゃることは何でしょうか。
水道橋 それは、やっぱり父の死というのが大きくてね。父は長く半身不随な状態で、人間は誰しも余命80年のがんにかかっているんだという死生観を持っていたんですけど、それでもがんの末期に全く自分で動けないまま死ぬのか、それとも前のめりに、自分の意志で人生のレースのゴールを目指すのかということを考えました。そこからかな、マラソンを始めたり、格闘技のジムに通ったり、そういうのをどんどん始めるんですけど。それらは、いずれは本にまとめようという目標を持って始めるんですけど、でもまた健康というのも不思議なもので、健康を過度に意識することによって不健康が忍び寄るんですよね。これは真理だと思うんだけど、これは健康に悪いから、これはこうでこうで、とルールをいろんなものに当てはめて、健康法をすべて取り入れて、食事のときにこれは駄目、あれは駄目とやっていると、かえってどんどん不健康になることってありませんか。
三橋 わかります。私も病気をきっかけに健康に目覚めたのですが、気がついたら健康になるために生きているような感覚に陥ることがありました。
水道橋 そう。健康になることを意識し過ぎて、不健康になるんですよ。
三橋 そういうことはありますね。
水道橋 だから、病気などに無頓着な人ほど健康な場合もあるんですよね。それがまた不健康へいつの間にか砂時計が落ちるように向かっている場合もあるんですけれど。僕は本を書きながら、そっちに向かうだろうなという自覚がありました。「完全燃焼病」というのかな。『博士の異常な健康』や『筋肉バカの壁』(いずれもアスペクト社)を書いて、フルマラソンを完走するなんていう大きな目標を掲げるじゃないですか。そうしたら、それに向かって自分の身体や健康観のピークを作っていくんですよ。でも、ピークを作れば絶対下降しますよね。普通に行けばいいところを、ピークを作り過ぎたら次は下がるんだということを、上げている段階ではわかっている。だから、そこは結構気をつけているかもしれないですね。あまり過度な健康病にならないように。
三橋 では、最近は自分らしいペースがつかめてきたということでしょうか。
水道橋 そうですね。だから、睡眠にお金をかけるというのは、「健康への過度な気の遣い方」ではない。人は、人生の3分の1ぐらいを睡眠に費やしていますよね。で、寝ている時は無意識じゃないですか。だから、その部分は俺はお金をかけてもいいよという話を秘書と話していて。最初は安いベッドでいいやって言っていたんですよ。
三橋 そうだったんですか。
水道橋 うん。でもそのうちに「やはり睡眠は大事なんじゃないですかね」という話になって、紆余曲折の末、現在にたどり着いているんですよね。
三橋 何が決め手だったのでしょう。
水道橋 まずサイズかな。あと、ここ(パラマウントベッド社のショールーム)に来て実物を見て、フォルムの格好よさと、あと森光子さんも使っているらしいという話を聞いて、「それは面白い」って。イメージとしてはこのベッドを使えばでんぐり返しが出来るみたいな。
三橋 (笑)。
水道橋 それが結構大きかったかな。ウチに遊びに来た人にね、見せびらかすんですよ。「俺、森光子さんと同じ車だから」みたいに。「同じ車種だから」って。
三橋 皆さんの反応はどうですか。
水道橋 それはウケますよ。ウケるっていうのはものすごく大きいポイント。
(パラマウントベッド社員)ありがとうございます。
水道橋 こちらで注文した時、そのままテレビ局の仕事場に行って、「いやあ、パラマウントベッドを買ったよ」というのを楽屋で話していたんですが、そのときの共演者が石坂浩二さんだったんですよ。石坂浩二さんと会ったのは僕はその時が初めてだったんですが、石坂さんを見ながら、ずっと「パラマウント〜♪」って心の中で歌ってた。本人には何も伝わらなかったに違いないんだけど、僕が個人的なパラマウントベッドの歌を歌ったという(註:石坂浩二さんはパラマウントベッドのCFに出演していた)。
三橋 (笑)。
睡眠のためのセレモニー
三橋 寝る前や起床後の習慣などはありますか。
水道橋 入眠行動は大体パターンが決まっています。絶対歯を磨く。今はアイマスクを絶対にする。ホットアイマスクもよくしますね。大量に買っています。で、ポッドキャストでラジオを聞く。落語だった時代もあるし、音楽だった時代もあるし、最近は絶対に聞かなきゃいけないラジオ番組がたくさん決まっているから、それを聞いています。
三橋 聞きながら眠るというのが儀式になっていらっしゃる。
水道橋 そう儀式ですね。まず、いつの間にか眠っていたということがないんですよ。
三橋 そうですか。
水道橋 基本的には、寝るときには「寝るぞ!」という格好をしていないと眠れないんです。机の上でいつの間にか寝ていたというようなことは、ほとんどないです。
三橋 そうなんですか。ずっと考えていらっしゃるというか、神経が高ぶっているんでしょうね。
水道橋 それはそうかもしれないですね。何かエンジンが回っている感じはするな。1回それをオフらないとやっぱ眠れないんでしょうね。だから、ぼうっとしていることがないんです。
三橋 いつも考えている。
水道橋 時々24時間ぼうっとしている感じの人がいるじゃないですか。僕、ぼうっとしてることが出来ないんです。やっぱりいつもオンになっているんですよ。あと、電気は消さないと駄目だし、周りに人がいるのも駄目。
三橋 お子さんと一緒に寝られることはないんですか。
水道橋 いや、ありますよ。でも「ひとつ寝」って言いますけど、同じベッドでは無理。「夫婦同床」って言葉もありますけど、あれもあり得ないです。
三橋 じゃあ別のお部屋といいますか、別の階だったりするのですか。
水道橋 そうですね。
三橋 それでぐっすり休まれて、朝のお目覚めはいかがですか。
水道橋 朝の目覚めはすっごくいいですよ。いつ頃から良くなっているのか忘れたけど、とにかくいいです。朝7時ぐらいには絶対起きています。子どもの「行ってきます」という声とか、全部聞こえていますから。でも、起きていると言ってしまうとそこに何で顔を出さないんだという話になるから、9時まで寝ているということにはなっています。
三橋 でも、意識はあるという。
水道橋 起きていますね。起きて、ブログの更新とかの作業をやっていますね、大体。8時には絶対起きているな。
三橋 5、6時間の睡眠時間だと、お休みになるのは夜2時くらい?
水道橋 そうですね。2時か3時ぐらい。で、8時には起きてバリバリやっています。
三橋 朝から、もう起きた瞬間からエンジンがかかっているということですか。
水道橋 ええ。すごいバリバリやっている。パソコンの前に座って、フォントをめちゃくちゃ大きく上げてブログの整理とかやっています。
三橋 体を鍛えていらっしゃるから、朝の寝起きがいいのかな。
水道橋 最近、あまり鍛えてないんですが、2年ほど前、自分の体を山本キッドの体にするというのを本気でやっていたから、筋肉質にはなっていますけれどもね。
三橋 それ以前から寝覚めはよかったですか。
水道橋 いや、そんなことはないです。悪い時期は悪いし、そういう意味ではそのサイクルを繰り返しますよね。現場に行ってコーヒー3杯目ぐらいで目が覚めてというときもあるし。車の中でずっと寝ているときもあるし。最近はものすごくいいです。パラマウントベッドにしてからいいですね(笑)。
(次回に続く)
(構成:山崎隆広/写真:森亨)
水道橋博士(すいどうばしはかせ)
1962年8月18日生。岡山県倉敷市出身。コンビ名・浅草キッド。出演番組は『総合診療医 ドクターG』(NHK)、『別冊アサ秘ジャーナル』(TBS)、『浅草映画研究会』(洋画★シネフィル・イマジカ)など。著書に『お笑い男の星座』、水道橋博士名義では、『博士の異常な健康』、『筋肉バカの壁』、『本業』など多数あり。特技:宅地建物取引、漢字検定(2級)、ベストアサイーニスト、他。(水道橋博士の「博士の悪道日記」より http://blog.livedoor.jp/s_hakase/)
三橋美穂(みはし・みほ)
寝具メーカーでの商品開発や眠りのアドバイザー、マーケティング、広報などを経験後、研究開発部門長を経て、 2003年に独立。心の環境、体の環境、睡眠の環境を整えることが快眠の3つの柱と考え、睡眠とストレス、食事、色彩、体操、呼吸法、寝具などとの関わりについて研究。講演や執筆、個人相談を通して、眠りの大切さや快眠の工夫、寝具の選び方などを提案している。特に枕は、その人の頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど。睡眠を多角的にとらえ、その幅広い知識と、実践的でわかりやすいアドバイスには定評がある。ベッドメーカーのコンサルティングや、ホテルや旅館の客室コーディネイトなど、企業の睡眠関連事業にも携わる。著書に『ねこに教わる快眠レッスン60』(PHP研究所)、『幸せを呼ぶ 快眠ヒーリング』(日本実業出版社)などがある。
オフィシャルサイト: http://sleepeace.com/



